しまだそう/コピコピ  2017.1.7 - 1.31

shimadasou_dm

会 期:2017年1月7日(土)~1月31日(火)
時 間:11:00 ~ 18:00 ※最終日は 11:00 ~ 17:00
close :毎週水曜日(祝日は開廊、翌平日休み)
在 廊:1月7日(土)、8日(日)、15日(日)、22日(日)、28日(土)  各日13時頃~

 
 最近めっきり絵が描けなくなった。何を描いても嘘になる。こんな事なら何も描かない方が良いに決まっている。
そんな事を考えながら仕事場でダラダラ過ごすのが最近の僕の仕事のスタイルだ。情けない話だが本当なんだから仕方がない。
 僕の絵は概ねナニガシかの(複製の)継ぎ接ぎでできた出来損ないのキメラの様なものだ。そもそも自分が何を描きたいのかも解らないし、何を描いていいかも解らない。それでも創造の欲求、創作意欲という奴がムクムクと湧き上がるものだから、とりあえずは目についた物でも描いてみようといった具合である。
 ここ数年僕が描いてきた物といえば、旅行代理店のチラシに乗っていたカニや、特撮怪獣映画の背景の山や、どこかで見たスナックの看板の文字であり、駄菓子屋のおもちゃであり、アメコミのコマの端っこの雲である。他にあげてみても、映画のチラシのレタリングやネットで拾った誰かの写真なのである。ボディビル雑誌のマッチョマンも幾度も描いたように思う。
 身の回りのあらゆる物を描いては消し、描いては消し、何の思想も哲学も大義名分もないままに描いてきたのだ。その取捨選択もよくわからないままに、考察する余裕もなく、野蛮な手つきで、ハサミも持たずに引きちぎり画面に投げつける様に描いてきたのだ。
 そして、それでもまだ描く意味も道理も対象も見つからないものだから、いつの頃からか前に描いた自分の絵をなぞる様に次の絵を描くようになった。そんな事(あえて言うならば誰かのパクリで成り立った己の絵の度重なる剽窃である)を続ける内にそもそもの「カニ」や「山」がどこからやって来たのかが曖昧になってきたようだ。
 もちろん、上にも書いたように旅行代理店のチラシのカニであり怪獣映画の背景の山なのだと僕ははっきりと知ってはいるのだが、それでも同時に曖昧で誰のものでもない様にも思えてくるのである。
 繰り返し描くうちに本質が自分のものになったのだと言えば聞こえもいいが、実態は借りたことすら忘れたままに己のポケットにしまい込んでしまったカリパクという方が近いのではないだろうか?
 今更、「そもそも芸術とはミメーシスだ、これが(まねぶ)というやつだ」、という様な事を言いたい訳ではないし、ここ数年のパクリやトレースといった物への社会の関心事をとやかく言いたいわけでもない。むしろそんな面倒な事は考えたくはないのだ。
 たまたま、「僕はこのように絵を描いてきてしまった」だけの事である。
もちろん、僕がこのように描いてきた事実を現代性や社会と結び付けて考える事も十二分に可能であり妥当であろう事を否定はしないが。
 で、ここからが本題?になるのだろうか。
 
 いや、正直に言ってしまえば、はじめにタイトルありきの展覧会なのである。
 たまたま、コピコピというタイトルの絵が数点あったと言ってしまえばそれまでの事なのだ。そこから、自身の創作スタイル、今後の展開を無理矢理くっつけながら、copy & copyというテーマをでっち上げたわけだ。
複製であり、模倣であり、原点から幾分距離のある何かである。
劣化コピーの行く末であり、自身の分身であり、誇大妄想でもある。
様式であり、直観であり、泣き言なのである。
乗り越える意志も計画もないままに踏み出した第一歩なのである。
僕(そして僕たち)は知らぬまに影響を受け、知らぬ間に盗っ人になりうるのだ。
  そして、時には自ら進んで眼を閉じるのである。
 僕は青臭い。とことんまで青臭い。
 一応それを解った上で描いている(そして書いている)事だけは知っていてもらいたい。

 

「しまだそう / コピコピ」展期間中、cafe百花mokaでは特別メニューをご用意しました。
ぜひご賞味ください。

●コピコピ クランチチョコ・ビスケット

マシュマロ入りのクランチチョコを乗せたビスケットです。
イメージはザクザクとした、ちょっとキッチュな感じで。

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しまだそう | So SHIMADA

1983年 大阪に生まれる
2009年 近畿大学文芸学部芸術学科卒業

http://www.geocities.jp/sochinsp/